解決事例: 相続・遺言
相続・遺言 死亡した内縁の妻の特別縁故者として財産分与の申立てを行い、ほぼ満額である約1600万円の分与が認められた事例
- 担当弁護士堀大祐
- 事務所長崎事務所
ご相談内容
依頼主
特別縁故者:Jさん(70代男性)
亡内縁の妻:Aさん
長崎市に在住のJさんは、亡くなった内縁の妻であるAさんの相続財産管理人である弁護士から連絡がきているとのことで相談に来られました。
Jさんは、5年ほど前に内縁の妻であったAさんを亡くし、Aさんが所有していた兵庫県のマンションに引き続き居住していました。一方、Aさんの相続人はAさんのご兄弟でしたが、ご兄弟がAさんの相続人を放棄し、Aさんの相続人が不存在となったことから、相続財産管理人が選任されたとのことでした。
その後、相続財産管理人がAさんの財産を管理することになり、Jさんは、相続財産管理人から上記マンションの退去を要請されたため、同マンションから退去して地元である長崎市に転居しました。
その後、相続財産管理人は、生前のAさんの生活状況等を調査したところ、JさんとAさんが内縁関係にあったことが分かり、Jさんに特別縁故者の申立てを検討されたらどうかと連絡してきたとのことでした。
弁護士の活動
当事務所がJさんとの相談の中でAさんの関係性を伺っていくと、JさんとAさんとの間には長期間内縁関係が継続していたこと、Aさんの闘病生活の面倒を全てJさんが看ていたこと、Aさんが亡くなった後の葬儀や散骨もJさんが行っていたことが判明しました。
そのため、当事務所は、特別縁故者であるJさんに対するAさんの財産分与の申立てを行い、申立理由にJさんとAさんとの出会いからAさんが死亡するまでの経緯を詳細に記載しました。
もっとも、申立理由の裏付けとなる根拠資料は、闘病生活中の医療明細書の一部、海洋散骨証明書がある程度で、その余の裏付け資料は存在しない状況でした。
そのため、当事務所は、できるだけ具体的で詳細な陳述書を作成するため、Jさんから詳細な聞取りを行って詳細な陳述書を作成しました。
解決結果
その結果、家庭裁判所は、相続財産管理人の管理費用を控除したAさんの財産(主に相続財産管理人が売却した上記マンションの代金が原資です。)をJさんに分与するとの審判を行い、Jさんに約1600万円の預金債権が分与されることになりました。
弁護士のコメント
特別縁故者に対する財産分与の申立ては、申立人と被相続人との関係性、被相続人の財産形成等に対する寄与などを考慮して分与割合が決められます。
今回のケースでは、結婚こそしてなかったものの、30年以上もの夫婦としての実体が存在したこと、最後の看取り行為を行っていること等から配偶者と同視できると裁判所が判断したため、ほぼ満額の分与が認められたものと思われます。
特別縁故者に対する財産分与の申立てに際しては、どのような資料を提出し、どのような陳述書を作成するか、専門家の観点からの検討が必要になると思いますので、一度、弁護士にご相談をしていただければと思います。
文責:弁護士 堀大祐
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